ココナッツオイルやココナッツウォーターをはじめとした、最近人気が高まっているココナッツの食品。その原料は、東南アジアやオセアニア地域に幅広く自生しているココヤシの実です。ココヤシはヤシ科に属する寿命約100年の背の高い木で、成長すると高さが15~30mにもなります。
ココヤシの学名は「Cocos nucifera L.」。Cocosは“サルの顔”、nuciferaは“堅い実を持った”という意味。つまりココヤシは「サルの顔に似た堅い実を持った」樹木ということですね。なぜ、“サルの顔” なのでしょうか?それはココヤシの実(内果皮)に3つの穴があいており、これがサルの顔に見えるからなのです。
ところで、この堅い実のどこが食べられるのでしょう?
私たちが普段口にしているのは、実の中の白い部分「胚乳」と、その中に満たされている「胚乳液」です。胚乳液が、いわゆるココナッツウォーターです。実のままだと保存がきくので、航海時の飲料水としても重宝されてきました。また、胚乳の部分を削って粉砕し、水を加えて搾ったものがココナッツミルクです。
そして、若い花芽を切って出てくる甘い樹液を煮詰めたものがココナッツシュガーで、これを発酵させると、半日程度で白く濁ったヤシ酒ができます。
食用以外にも、現地では昔からココヤシは生活に欠かせない植物です。
未成熟な実の中果皮の繊維からは丈夫なロープが、成熟した実の乾燥させた内果皮は、水入れやアクセサリーなどに、乾燥した中果皮の繊維は、たわしやたきつけ用の燃料として使われます。
緑の葉は編んで敷物や家屋の材料に、天日干しして細く裂いた葉は丈夫なバスケットを編む材料となります。古い葉は油分を含んでいるので、束ねて松明に使われます。また、昔は腰みのなどの衣類としても使われていました。
さらに、丈夫な葉柄(ようへい)を使って海図が作られていました。貝が島を表し、葉柄が波の向きなどを表しているそうです。このように、たくさんのモノが生み出されることから、生産地のひとつフィリピンでは、 The Tree of life(生命の木)”と呼ばれています。
(協力:国立民族学博物館 教授 印東 道子 資料提供:国立民族学博物館 http://www.minpaku.ac.jp/)
(参考:Philippine Coconut AuthorityのHPより)
では、ココナッツオイルはどうやって作られるのでしょうか?
ココナッツオイルも、ココナッツミルクと同じ、胚乳から作られます。
ココナッツオイルは、大きくわけて2種類あります。粉砕した胚乳を圧搾して、一番搾りの液体を濾過したものが、「バージンココナッツオイル」です。一般的に高熱を加えずに搾るので、ココナッツの香りが豊かで、良質なオイルです。胚乳から直接オイルを搾るドライ製法と、胚乳からココナッツミルクを作り、遠心分離とろ過によりオイルを抽出するウェット製法が代表的な作り方です。なかでも厳しい品質管理を通ったものは“エキストラバージン”と呼ばれています。
一方、「精製ココナッツオイル」と呼ばれるものは、胚乳を乾燥させたコプラを圧搾・抽出して取った原油を精製して作られます。独特の香りがないので、使えるお料理の幅が広がります。
ココナッツオイルやその仲間のパーム核油は、ともに中鎖脂肪酸を60%程度含みます。様々な植物油のなかで中鎖脂肪酸を多く含むのは、ココナッツオイルやパーム(アブラヤシ)の種の中にある核を原料としたパーム核油など、ヤシ科の植物油だけなのです。
(※ただし、パームの果肉部分から採れるパーム油は、通常の植物油と同じく長鎖脂肪酸が主体です。)
油というと、悪玉コレステロールが気になりますが、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸が主体ですので、適量であれば悪玉コレステロールの割合を下げて、善玉コレステロールの割合を増やすという研究報告もあります。
そんなココナッツオイルは生産量も少なく貴重なオイル。上手に使って、健やかな食生活にお役立てください。
ココナッツオイルは、一般的な植物油と違う特長を持っています。
酸化に対して安定的な中鎖脂肪酸が多く、他の植物油と比べて酸化されにくい油です。
また、融点が25度前後ですので、日本では冬場など寒い季節には白く濁って固まり、夏場には溶けて液状になります。いずれも温度による変化で品質には影響ありませんので、安心してお使いください。
調理の際には加熱しすぎると発火しますので、加熱中その場を離れる時は必ず火を消してください。加熱したあとの仕上げに加えたり、暖かい飲みものに溶かして使うのもおすすめです。









